墜落的トキシック

大切な人






楽しい時間というのは過ぎ去るのが早いもので。
三泊四日と長く思えた修学旅行も、気づけば三泊目の夜を迎えていた。


小中高、と修学旅行を経験してきたけれど、こんなに心から楽しいのは、今回が初めてかもしれない。



今日の宿泊先はホテル。

泊まるところは各クラスで異なるのだけれど、今日はいくつかのクラスが同時にこのホテルに泊まるようで、さっきから他クラスの人たちもちらほら見かける。


お風呂から上がって、髪を乾かし終えて更衣室を出る。
火照った肌に秋の夜風が染み渡って心地いい。



ちなみにルームメイトの子たちは、先に部屋に戻っている。
髪が長くてなかなか乾かないから部屋のドライヤーで時間をかけて乾かすんだって。



スリッパをぱたぱたさせながら、部屋に向かうべくエレベーターの方へ向かう。




「……っ」




何気なく視線を上げると、廊下の先に同じようにエレベーターの方へ向かう人影を発見する。
複数人の男の子のものだ。



だけどその中でも────。
なんで、こんなすぐに見つけてしまうかな。



侑吏くん、と心の中で名前をなぞった。





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