墜落的トキシック

好きな人





修学旅行から帰ってきて、数週間が経ち。
教室からは修学旅行前のそわそわした雰囲気がなくなって、すっかり日常に戻った。

楽しみにしていたもの、かつ準備に時間をかけてきたものがなくなると、変な感じだ。
手持ちぶさた、というか何というか。



ちなみに今は、化学の授業中。
今日は実験をする予定だ。



教壇で実験の説明をするニッセンの話を右から左へと流しながら、くあ、とあくびを零した。
説明が長すぎて頭に入ってこない。


襲ってくる眠気と戦いつつ、ぼんやりとななめ前の席に座る侑吏くんを見つめる。


教室での席は遠いけれど、たまたま実験の班が同じになったんだ。




「……っ」



じっと見つめていたからか、視線を感じたらしい侑吏くんがふとこちらを振り向いて。
慌てて視線を逸らす。


挙動不審に見えなかったかな。


……なんて、らしくない乙女な思考回路になってしまっていることに、後から気づいて顔を覆った。だめだ、重症だ。


侑吏くんに対して、そういう私の中の女の子の部分が顔を出すことに、まだ慣れない。
いちいち恥ずかしくなってしまう。




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