墜落的トキシック
▼ エピローグ ▼
◆
「ちょっと侑吏くん!さぼらずに手動かしてよっ」
「うるせー。つーか、おまえの方が全然進んでないじゃん」
「う、」
言葉に詰まる。
確かに、全然進んでないけれど。
だけど、私は真面目にやってこれなんだもん。侑吏くんはそうじゃないじゃん。
放課後、教室、ふたりきり。
しかも顔を合わせるのはほぼ一週間ぶり。
ちょっとは甘い雰囲気に────なんて、別に期待していたわけでもないけどさあ。
まあ私と侑吏くんだからな。こうなるのも当然といえば当然。
────あ、一週間ぶりというのは。
あの日、冷たい雨をたっぷり浴びた私と侑吏くんはふたりそろって翌日に熱を出した。
秋の夕方、雨の中傘も差さずにいたのだから、風邪をひくのも当たり前か。
これが結構長引いて、今日やっと復活したというわけだ。
麻美に色々と報告を兼ねて、風邪を引くことになった経緯を説明して。
『雨の中盛るからよ』
『さか……っ!?』
白目を剥く羽目になったのは今朝の話。
『ほんとあんたも佐和くんもただのアホだよね』
なんて言いつつも、ちょっと嬉しそうに頬を緩めた麻美のことを私は見逃さなかった。