墜落的トキシック
仲の良い幼なじみだった。だけどそれ以上はない。ただ、俺を孤独から守るためだけに離れないでいてくれた。
だから言わなかった。
もう孤独なんてとうの昔に温まって消えていたけれど、花乃は俺を守ると約束したから、大丈夫だと言わない限り、傍にいてくれるとわかっていたから。
嫉妬も欲情も人並みにする。
……いや、たぶん、人並み以上。
だけど、離れていかれるわけにはいかなかったから、我慢して。
そのもどかしさに耐えていた頃だった。
佳子さんが亡くなったのは。
絶望に染まった花乃が病室から出てきたとき、今しかないと思った。
最低だ。わかっている。最低でも、なりふり構わず欲しいと思った。
きみを手に入れられるなら、もう何でもよかった。
縋ればいい。俺しかいないと思い込んで、欲しがればいい。
キスもハグも、慰めるためだと花乃は思っていただろうけれど、俺はそんなに生優しくない。したいと思ったからした、あわよくばその先すら欲しがった。
好きになればいい。
勘違いして、そのまま思い込んでいればいい。
繋いだ手、きみの指先はずっと冷え切ったままだった。
単純なことだ。温める側の俺の手が、俺が差し出した手のひらが冷え切っていたから。