墜落的トキシック
『……ぅあ……っ』
堪えきれなかった嗚咽を漏らした直後、
絶妙に空気の読めない声が耳に届いた。
『あのー、顔すごいことになってるけど?』
『っ!?』
『よかったらこれ使う? 一応一通り揃ってるはず』
背後からの突然の呼びかけにびくっとして振り向くと、女の子が立っていた。
たしか屋上に来たときは誰もいなかったはず。
いつの間に……?
美人。
眉や目尻のラインがきりっとしている。
そんな彼女は感情の読めない表情でポーチをこちらに差し出していた。
ご丁寧にファスナーは開けられていて、隙間からマスカラやリップが顔を覗かせている。
『……えっと?』
状況が理解できなくて、首を傾げた私に女の子はずいっと顔を寄せて。
『まさか、あんたそのパンダ状態のまま帰る気!? それはやめといた方がいいんじゃなーい?』
『……っ?』
『ほらほら使いなー。メイク落としも貸したげるよー』