墜落的トキシック
鏡やらコットンやら、手品みたいにぽんぽん取り出して見せびらかしていく彼女に呆気にとられて、しばらくぽかんとしていたけれど。
我に返って、彼女に向き直って。
『……メイク道具は、自分で持ってます、けど……』
『あらそーう? ならよかった!』
私の言葉に、彼女は取り出した道具をいそいそとしまい始める。
なんなんだ、この人。
まるで新種の生物と────いや、宇宙人と話しているかのような気分だ。
呆然としている私の表情をちらりと伺って、女の子は口を開く。
『友達と喧嘩でもしたのー?それとも彼氏に振られちゃった?』
『……』
『あー、友達はないか。あんた、友達いなさそうな顔してるし』
どんな顔だよ、
と突っ込みたくはなったけれど。
図星だから返す言葉はなかった。
友達と呼べる友達なんていない。
いない、というかいらなかった。
どうでもよかった。
全部、どうでもよかったの。
ハル以外のことなんて。
ハルが私のすべてだった。
ハルがいれば、それ以外になにもいらない。
─────逆に、ハルがいなきゃ意味がない。