スパークリング・ハニー
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「光莉がもう17歳なんてなー」

「ほんと早いよねえ。ついこの間産んだばっかりなのに」

「わかる。昨日までランドセル背負ってた」

「ええーっ、それは言いすぎ! 私、もうすっかり大人だよ!」

「それはまだ早い」



家に帰り、しばらくすると夕食の時間。
予定どおり、家族みんなで食卓を囲んだ。


お誕生日の特別仕様で、並んでいたのは私の好物ばかりだった。

ぺろりと完食したあと、デザートはお兄ちゃんが作ってくれたバースデーケーキ。リクエスト通りのフルーツタルトだ。


つやつやぴかぴかのフルーツ、香ばしく焼きあがった生地に、カスタードクリーム。

ほっぺが落ちるくらいに美味しくて、お兄ちゃんってば、また一段と腕を上げたなあと感心していると。



「光莉は将来の夢とかあるのか」



お父さんが、この機会に、と尋ねてくる。
将来の夢……かあ。



「うーん、まだちゃんとは……漠然と、しか」



職業だとか、進路だとか。
そういう具体的な目標はまだ全然見つからない。

ただ、誰かを笑顔にできるような、そんなひとになりたいなって漠然と思うだけで。



「そうか」



うんうん、とお父さんは頷いた。



「そろそろ、ちゃんと考えなきゃなあとは思ってるんだけど……」




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