スパークリング・ハニー


冷静に、淡々と、分析する口調。

こもりんは、一切こっちを向かない。ただ、グラウンドの部員たちをじっと見つめたまま淀みなく言葉を続ける。



「朝陽は実力はいちばんだと思う。順当に、キャプテンになるべき存在だったと思う。でも、誰よりも不安定なのも事実だし、あとは」



ぷつん、と言葉が途切れる。
こもりんの視線、まっすぐに向けられているのは篠宮くんの足。


ちょうど、篠宮くんともうひとりでボールを競っているところだ。篠宮くんの足がボールを奪うべく華麗にボールの方へ伸びる。そしてその足は。




「朝陽のプレーには、積極さがない」




────ボールに掠ることさえなく、地に落ちた。


それは、たった一瞬の出来事だったけれど、それでも、篠宮くんの足が躊躇するように引いた、ように見えたのは。


きっと、気のせいじゃなかった。




「ミッドフィルダー、それもボランチについている朝陽にとって、積極性が欠けているのは、致命的」


「……」




こもりんの言葉を待たずとも気づいていた。
私だって、一端のサッカーファンだもの。


ボランチ────舵取りの役目を果たすべきポジションにとって、不安定さも積極性のなさも、致命傷。




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