スパークリング・ハニー


そして、ふと思い出したの。



「……あ、そういえば」

「んー?」

「みなみちゃんが、言ってたの」




あの夏の予選の日、ハーフタイムのとき。

『……朝陽、ほんとうは、もっと凄いのに』────たしか、そう言っていたよね。




「そっかー。みなみなら知ってるんだろうね」

「え……?」



なんのこと、って首を傾げた私。
こもりんは困ったように少し笑って。

やっぱり視線はグラウンドに向けたまま、メモを取る手も止めないまま。



「私も詳しくないんだけどさ」



朝陽とは中学校は別だったし、けっこう離れたとこに住んでるし、人づてに聞いたことしかないんだけど、って前置きして、薄く口を開く。



「朝陽、中学のとき、サッカーができなくなったんだって。一時期」

「……っ?」

「部活もやめて、ボールにも触らなくなった時期があったって聞いた」



想像もできない。あの篠宮くんが、サッカーから離れているところなんて。

「怪我とかではなくて?」と私が質問を重ねる前に、こもりんは先回りする。



「朝陽に怪我とか故障の話は聞いたことないから、それ以外の原因だろうね。それ以上のことは何も知らない。どうしてできなくなったのかも、どうしてまたサッカーをするようになったのかも」



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