スパークリング・ハニー
なにも知らないと言うけれど。
だけど、きっと、篠宮くんが定期的に調子を崩してしまったり、積極的なプレーができなかったり────今の篠宮くんが抱える課題の根源ともいえる原因が、そこに眠っていると、こもりんはそう思っているのだと思う。
こもりんだけじゃなくて、たとえばみなみちゃんも、多分。
そして、私よりもずっと、篠宮くんを近くで見てきている人たちがそう思うのなら、それはたぶん真実なのだろう。
「朝陽先輩の話ですか?」
神妙な面持ちで、グラウンドを眺める私とこもりん、その背後から突然声がして、驚きつつ振り向くと。
「ゆんちゃん!……あっ、ええと、立木さん!」
「あは、ゆんちゃんでいいですよっ」
「光莉先輩ですよね?」とにこにこ話しかけてくれたのは、先ほどまで少し離れたところで働いていた、もうひとりのマネージャー、ゆんちゃんだった。
「私のこと知ってくれてるの?」
「光莉先輩はサッカー部内でけっこう有名ですから」
「えっ」
「凜乃先輩から噂はかねがね聞いてます」
凜乃、こもりんのことだ。
思い出し笑い、小さくくすっと笑うゆんちゃん。
その仕草に、むむっと疑わしく思う。こもりんってばサッカー部で私のことをどう吹聴しているの……!