スパークリング・ハニー
見覚えがあるのにまちがいない、けれど。
あれ……?
少しの違和感。それを先に口にしたのはみなみちゃんの方だった。
「キャップだけ色違うね?」
「あー……、それは……」
みなみちゃんが指摘したとおり、こもりんが手にしている制汗剤のボトルは本体がパープルなのに対して、キャップは水色でちぐはぐな組み合わせになっていた。
指摘された当のこもりんは、気まずそうに視線をそらしたかと思えば、頬を少し赤く染めている。
気まずい、というより照れている、みたいな……。
こもりんにしては珍しい表情だな、と不思議に思っていると。
「知らない?」
「え?」
「……好きな人とキャップ交換して使い切ったら願いが叶う、ってジンクス」
恥ずかしそうに、もごもごと言葉にするこもりん。
「ええ、初耳!」って驚く私、対するみなみちゃんはこもりんをからかうみたいに脇腹を小突いている。
「このリア充め〜っ」
「なるほど、二村くんと交換したってこと!」
一呼吸おいて、ようやく理解する。