スパークリング・ハニー


なにを隠そう、こもりんには付き合っている男の子がいるの。


こもりんの彼氏は、他クラスの他部活────野球部の二村くんだ。


サッカー部のマネをしていて、野球部の男の子を好きになるところが、なんていうか、こもりんっぽいと思う。



ああ、それでかぁ。

こもりんが今日の出場種目にソフトボールを選んだ理由がわかったよ。




「んふふ、相変わらず仲良しでなによりだよ」

「別に普通だし!」




照れ隠しなのか、つっけんどんな口調のこもりんが、とても可愛い。


ツンデレなこもりんと、そんなところも含めてこもりんのことを可愛いと思っている二村くんと、すごく微笑ましいカップルなんだよ。


ふたりともハードな部活ライフを送っているから、一緒にいるところはなかなか見られないけれど、それでもお似合いだもの、ちょっと憧れちゃう。




「キャップ交換かー、青春だね。羨ましいなー」



何気ない口調で呟くみなみちゃん。
その視線は無意識にか、手元の制汗剤のボトルに落ちている。


みなみちゃんが思い浮かべている男の子なんて、心当たりはひとりしかいない。




「あ、やば、急がないと!」




話し込んでいるうちに、集合時刻が迫ってきていたらしい。

こもりんがたっと駆け出した。



────どうしてかきゅっと狭くなった心の奥は見ないふりをして、こもりんの後を追った。



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