スパークリング・ハニー
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そして、ついにその日が来てしまった。




この時期だと少し肌寒いくらいの、自然に囲まれた小高い場所。



バスを降りて、胸いっぱいに空気を取りこむ。

それは、すごく爽やかで気持ちのいい気候、なのに。




「はああ……」




どうにもこうにも浮かない心。

盛大なため息をつくと、後ろから声をかけられた。




「ふふ、光莉先輩、緊張してます?」

「す、するに決まってるよ……!」




励ますように笑顔を向けてくれたのは、ゆんちゃんだ。


ひとつ年下とは思えないほどしっかりしていて、頼もしい。


先ほどまでのバスの車中でも隣に座ってさまざまなことを懇切丁寧に教えてくれた。



……が、しかし、なのだよ。





「まあ、凜乃先輩もなかなかムチャぶりするなあと思いましたけどね」

「ほんとうにね!?」




今、絶賛後悔中なの。

私、どうしてあのときしっかり断らなかったのだろうか。





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