スパークリング・ハニー
そんなことをぼんやり考えながら、目の前の巨大なお鍋をぐるぐるとかき混ぜる。
漂ってくる食欲をそそる香りに、自然と鼻歌が零れた。
「ふふふーんっ、と」
今は、もうすっかり日は暮れた頃。
かといって、もう練習を切り上げた、というわけではない。
グラウンドではライトをつけて、その中でまだ選手のみんなの練習は続いている。
ずいぶんとハードなスケジュールだけれど、この合宿では基礎体力をしっかりとつけることが目的らしく、へとへとになるくらいにまで追い込むみたいだ。
ゆんちゃんもタイムキーパーとしてグラウンドの方に残っているのだけど、その間に私は宿舎に戻ってきて、夕食の準備をしているのである。
なにせ、けっこうな人数がいるからね。
練習が終わるのを待たず、しっかり前もって準備しておかないと間に合わないのだ。
「美味しそう〜」
今晩のメニューはカレーだよ。
合宿といえば、の定番かもしれない。
お兄ちゃんもサッカー部時代、合宿に行った時はカレーを食べたってよく言っていた気がする。
たぷたぷの大鍋を覗き込んで、すんすんと息を吸う。
うん、いい香り。
この感じだとちゃんと美味しくできているはず。
料理はけっこう得意な方だと思う。
家でもよくお母さんの手伝いをするからね。
お兄ちゃんといい、私といい、キッチンに立つのが向いている方なのかも。