スパークリング・ハニー



料理をするなかで、なにより驚いたのは、その量だった。


たしかに、部員がたくさんいるのは事実だけれど、それにしてもご飯もルウもすごく多い。



だけど、ゆんちゃんはこれくらいでも余裕でなくなるって言っていたから、食べ盛りの男の子をあなどってはいけないみたいだ。



手にしたおたまで、鍋の底からしっかりとかき混ぜる。

量がたっぷりだから、この作業だけでも腕に筋肉がつきそうだ、なんて思う。



でも、焦がすわけにはいかないもんね。



手順はわりと簡単なカレーだけれど、底が焦げつきやすいのが難点だ。

気を抜くことなくぐるぐるとかき混ぜ続けていると。




「お、いー匂い」

「ひぃっ!?」



後ろ、しかもけっこう至近距離から声がして。

驚きつつ、慌てて振り向くと、そこには。




「篠宮くん……!」

「鼻歌聞こえたから、つい」




うっ。
慌てて鼻を押さえたけれど、もう手遅れだ。


のんきに鼻歌を歌っているところを聞かれてしまうなんて、恥ずかしいことこの上ない。





「れ、練習は……」

「さっき終わったとこ」

「あ、そうなんだ!」




時計を確認すれば、納得の時間だった。

もうこんなに経っていたんだ。




そろそろ夕食、ってところ。
配膳の準備も始めておいた方がよさそうだ。



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