スパークリング・ハニー


一瞬、虫かと思った、けれど虫じゃない。


しゅるっと細長くて、ふにゅっとしたいきものがそこにいた。




「瑞沢?どうしたの」




じりじりと後ずさり、怯えた顔のまま固まった私の表情。

私の様子がおかしいことに気づいた篠宮くんが、首を傾げながらこちらに近づいてくる。




「と、と、とか……っ」




トカゲ、と言いたかったのだけど、言葉にならない。




「……?」




案の定なにも伝わらなかったみたいだ。

きょとん、と首を傾げた篠宮くんが私が指差すところを覗き込んだ。


そして。




「はは、ヤモリな」




トカゲじゃなくてヤモリだったみたい。
……と言われてもあまり違いはわかっていない。


そろり、そろり、視線を逸らしていると。




「もしかして、苦手?」

「う……その、爬虫類が、ちょっと」




実は得意ではない。

虫なら耐性はあるのだけれど、どうしてか、ふにゅっとしたいきものが怖いのだ。




「ふ、おばけは全然怖がってなかったのに」

「それとこれとはちょっと違う……!」




肝だめしのときは、たしか篠宮くんの方が怖がっていたよね。


今はその逆。
篠宮くんはいたって通常運転だ。




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