スパークリング・ハニー
反応したら負けだ。
それが湊人の思うつぼ。
「てか、光莉ちゃんって────」
「あのさ」
わかっていたのに、結局耐えきれず口を挟んでしまう。
これで、寝たフリはぜんぶ水の泡だ。
「……その“光莉ちゃん”って馴れ馴れしく呼ぶの、嫌」
「あっは、朝陽、それなんて呼ぶか知ってる?」
────嫉妬、もしくは独占欲。
ひそめた声で面白がるようにそう言って、湊人は隠す様子もなくころころと笑った。
軽く睨んだけれど、効果はもちろんない。
「それだけ好きなくせに、なにのろのろしてんだよって話だけどね」
「……」
「ぼけっとしてる間に、他の誰とも知れないヤツにとられても何も言えねーよな、それじゃ」
「……」
「まー、朝陽は何も言わないつもりなんだろーけどさ。光莉ちゃ……瑞沢ちゃんに告う気も全くないんでしょ、どーせ」
無視したって関係ない。
湊人の言葉は器用に痛いところだけを刺してくる。
それは、きっと、わざとだ。
「話は変わるけど、アレ、いつハッチ先生に渡すつもり?」
湊人の言葉に、しばらく前から、鞄に入れっぱなしで持ち歩いているアレ────白い封筒のことを思い出す。