スパークリング・ハニー
「明日、渡そうと思ってる」
「そう」
「……迷惑かけるな」
「いや、別に」
凑人は特に気にしていない様子で返事したかと思えば、探るような視線を俺に向ける。
その鋭さに息を呑んだ。
「まだあのこと引きずってんのな」
「……」
「ずっと履き違えたままでいるつもり?」
「別に、俺は」
「そんな簡単に切れる程度の気持ちだって思い込んでんなら、完全に履き違えてるけどねー」
今度こそ、しっかり瞼を下ろす。
湊人から逃げるように背中を向けると、背後から深く息をつく音が聞こえた。
だからって、俺は。
「朝陽は、自分のこと何もわかってない。ほんと、馬鹿だよ」
宵闇の中、湊人の小さな呟き声がやけに耳に響く。
覚悟だけを握りしめて眠りにつくべく、目を閉じれば浮かび上がってくる色々なことを、ひとつひとつ振り払った。