スパークリング・ハニー



ひとまず落ち着いたところでお兄ちゃんが口を開く。




「見ての通り、俺の足はめちゃくちゃ元気。サッカーも普通にできる」


「……はい」



「俺ね、サッカーも大好きだった……つうか、今でも大好きなんだけどさ。たしかにあの頃、サッカー選手になるんだって思ってたし、周りからもちょっとずつ期待されはじめてたんだけど。その反面、ほんとうに自分がしたいことってこれで正解なのか?って悩んでたんだよね。ちっちゃいときからサッカーしか見えてなかったから、もっと広い世界も見てみたいってさ」



ちょうど、そのタイミングだったんだよ、あの事故は。



「怪我して、一時期足が動かなくなって、でもわりと好都合だったんだ。いろんなこと考えるためには、時間が欲しかったから。で、自宅で安静にしてろって言われているうちにお菓子作りにはまっちゃって、夢、見つけちゃったわけなの。それでサッカーを辞めたって、それだけ」


「はい」


「だから、きみが背負うべきものなんて、ひとつもないんだよ。あと、ああいう怪我って誰が悪いとかそういうのないからね、元から」



俺が許してるんだから、きみは許されてくれなきゃ困る。

気にしてないから、気にすんな。



そう言って軽く笑ったお兄ちゃんに、篠宮くんもこくりと頷いていた。




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