スパークリング・ハニー
.
.


お兄ちゃんはそのあとすぐ、『あ!新しいアイディアひらめいちゃったから帰るわ!』なんて突然立ち上がって、目をきらきらと輝かせながら、足早に帰ってしまった。


もう、最近のお兄ちゃんってば、お菓子作りのことしか考えてないんだから。


でも、それくらい夢中になれるものがあるのは素敵なことだと思う。




嵐のように去って行ったお兄ちゃん、取り残された篠宮くんと私。


結局私たちも、ふたりで帰ることにした。




あたりまえのように、篠宮くんは私の家の方向へ歩き始める。

歩くのは車道側、自然にエスコートしてくれた。




「……俺、サッカー続けるよ」

「うん」

「よかった。瑛斗さんの足が治ってて」




篠宮くんがそう言って、笑みを浮かべる。
たしかに清々しい笑顔、だけど。



もうひとつ、あるんだ。
篠宮くんに、言いたかったこと。


今日私が伝えたかったことの2つ目。




────篠宮くん、きみは大切なことを、ひとつ忘れたままでいる。





「篠宮くん、それは、違うよ」





突然足をとめた私に、篠宮くんも驚いて足をとめる。


そして、振り向いた篠宮くんと向かい合う。






< 248 / 299 >

この作品をシェア

pagetop