スパークリング・ハニー
「じゃあ篠宮くんは、もしお兄ちゃんの足が今も治ってなかったら、もう動かなかったら、サッカーを辞めてしまえるの?」
篠宮くんは、優しすぎる。
周りのことを考えすぎて身動きが取れなくなるひと。
自分の気持ちを押し殺してしまうひとだ。
そんな篠宮くんだから、憧れたの。
今も、ずっと、憧れているの。
だけど私は、篠宮くんのなかにある、その気持ちを無視することなんてできない。
なかったことにするなんて、いやだよ。
「……それ、は」
息をのんだ篠宮くん。
瞳が揺れる。大丈夫、消えていない。
その瞳の揺らぎのなかに、篠宮くんのほんとうの気持ちが詰まっている。
私は、ずっと、篠宮くんを見ていたから。
見逃したりなんか、しないの。
「辞められないよ。篠宮くんはぜったいに、ぜーったいに、サッカーを辞めたりなんかできないっ!」
知ってる、って言いたかった。
わかってる、って言いたかった。
私が言うべきことじゃないってためらって、ずっと口にできなかったけれど、だけど、もう我慢できない。
私、知っているんだよ。
「だって、篠宮くんはサッカーが大好きだから」
「……!」
「大好き、でしょ……っ!」