スパークリング・ハニー

だって、篠宮くんがさらっと。

ほんとうにさらっと、『好き』なんて口にするから。



いやいやいや、わかってるよ。

篠宮くんが好きだって言ったのは、美味しそうにものを食べる人、であってそれが私だけを指しているわけじゃない。


わかっていても、それでもびっくりしちゃうんだよ。



放課後、ハンバーガー屋さん、篠宮くんとふたりきり。

ポテトを半分こして、一緒に食べて……。



まるで、放課後デート、みたい。

この距離に篠宮くんがいるなんて信じられない。夢みたい。

篠宮くんに憧れはじめたあの日の私に教えてあげたら卒倒してしまいそうだ。



「ん?俺の顔、なにかついてる?」



知らず知らずのうちに、また、篠宮くんを一直線に見つめてしまっていたみたい。

慌てて首を横にふる。



「なんにもついてないよ!大丈夫!!」

「ほんと?」



こくり、と頷くと篠宮くんはほっとしたように表情をゆるめた。


お互いハンバーガーを食べ終えて、お腹も満たされたところで。


「じゃあ、勉強しよっか」

「はいっ、お願いします!」

「ふは、めちゃくちゃいい返事」



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