スパークリング・ハニー


そんな風にずるずると甘いほうへ流れていきそうな思考回路をなんとかストップして。

ええっと、話題。なにか、話題……。



「そうだ、篠宮くんってさっきまで部活だったよね。疲れてない?大丈夫?」

「ぜんぜん。毎日のことだからもう慣れっこ」



それもそうだ。
大きなお世話だったかも。



「篠宮くんって、いつからサッカー続けてるの?」

「ちゃんと始めたのは小3のときかな」



小学3年生……。
指折り数える。今年が9年目だ。
それはとてつもなく長い時間のように思えた。



「すごいね。私には、それくらい続けているようなもの、ないよ」

「そんなすごいことかな」

「だって9年だよっ?生半可じゃ続かないよ」



思わず前のめりになる。
続けるって、それだけでもすごく難しいことだ。

三日坊主の私に言わせてみれば、なにかを続けているってことだけで尊敬に値するよ。



「俺のは、なあなあでずるずる続けてるだけ」

「……っ?」

「続けてるってより、辞めてない、だけ」




< 38 / 299 >

この作品をシェア

pagetop