スパークリング・ハニー


「なんでそう断言できるの」

「ええっ、だって見たまんまだよ。サッカーをしているときの篠宮くんって、全身がなんかこう……サッカーが大好き!って叫んでるんだもん」



遠目に見ているだけで、ひしひしと伝わってくる。


ああ、このひとは、篠宮くんは、ほんとうにサッカーが、ボールを追いかけるのが、好きなんだなって。


サッカーをしているときの篠宮くんが、いちばんきらきらしている。表情も、その瞳も。



それは、篠宮くんがそれほどサッカーが好きだという確かな証拠だ。



「……っ、ふはっ」



急に、笑い声をあげた篠宮くん。



「瑞沢はほんとに変わんないね」

「え」




戸惑う。

変わんない……って、どのときと、比べて?



そして、もうひとつ。

一瞬、ほんの一瞬だけ、篠宮くんの表情が切なげに歪んだ気がして。



だけど、それはほんとうに一瞬のことで、気づけば元どおり。

気のせい、だったのかも。



「つーか、瑞沢こそサッカー好きだよな」

「私っ?」



まさか、自分に振られるとは思わなかったから、驚いて目をぱちくりさせる。



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