スパークリング・ハニー


差し入れ、かあ。
その発想はなかった。


いつも、ということは、みなみちゃんはよく応援に来ていたりするのだろうか。

ふと、疑問に思ったとき。



「今日はひかちゃんもいるんだね?」



こもりんへの用を済ませたみなみちゃんが、くるりとこっちを振り向いた。

ぱたぱたと駆け寄ってきてくれる。



「うん。みなみちゃんはいつも来てるの?」

「ああ、うん。ほら、朝陽とは幼なじみだからね。なんだかんだ勇姿は見てやらないとって」



仕方なく、って口調。
うらはらに、表情は楽しそう。

本音と建前。

きっと、“仕方なく” の方はタテマエってやつだと思う。



「篠宮くんは、小学校のときにサッカーはじめたんだよね?」

「そう。はじめた頃はまさか、朝陽がこんなにサッカーに夢中になるとは思ってなかったなあ」



懐かしむような表情、それはずっと隣で見守ってきた彼女にだけゆるされる表情だ。




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