スパークリング・ハニー


このタイミングで聞くとは思っていなかったひとの名前に、どうりで、って納得するのと、どうして、ってびっくりするのと半分半分だ。


どうりでデザインに違和感を感じたんだ。
でも、どうして篠宮くんの、が。



「朝陽が瑞沢に渡しといてって名指しで寄越してきたの」

「うそ」

「ほんと!」

「ええ、さすがに申し訳ない……」



私、けっこう汗っかきだよ?

試合が終わるころには、篠宮くんのキャップが汗まみれかもしれない。


篠宮くんが気にしなくても私が気にする。


いそいそと脱ごうとすると、ストップをかけたのは、なぜかみなみちゃんだった。



「ひかちゃん、ここはありがたくかぶっときなねー」

「えっ、なんで……」

「ふふ、その方が朝陽は喜ぶと思うよ」



篠宮くんのことをよく知るみなみちゃんが言うのならまちがいない、かな?

どこか腑に落ちないまま、脱ごうとしたキャップを反対に、ぐっとかぶり直す。



うう、汗まみれにしてしまったらごめんなさい。
先に心の中であやまっておいた。




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