スパークリング・ハニー

.
.



それから少しして、はじまった試合。

開幕早々からそれはもう圧巻で、瞬きするのも惜しいと思うほどだった。




今回、高校に入ってはじめてスタメン入りしたという篠宮くん。


そのポジションは、ミッドフィルダー。
特に、ボランチと呼ばれる役割をになっている。



ボランチとはハンドルの意味をもつ。

その名のとおり、試合の状況にあわせて臨機応変に攻守を切り替える必要がある、まさに「舵とり」のポジション。ボールに触れる回数もおのずと増える役回り。


そんな篠宮くんがボールに触れるたび、私の心臓の音は一段とうるさくなる。



見ているとすぐに気づくけれど、篠宮くんの足さばきはすごく華麗だ。テクニシャン、といってもいいかもしれない。


捕らえたボールを離さないまま操って、相手の隙を縫うようにパスを送り出す。


足先の動きは、激しいスポーツをしているとは思えないほど、丁寧で、緻密で、繊細だ。


細かいトラップをいくつも組み込んだそれは、複雑なのに、軽やか。

自然に流れていくようで、まるでダンスのステップを踏んでいるようにもみえる。




< 59 / 299 >

この作品をシェア

pagetop