スパークリング・ハニー
.
.
それから少しして、はじまった試合。
開幕早々からそれはもう圧巻で、瞬きするのも惜しいと思うほどだった。
今回、高校に入ってはじめてスタメン入りしたという篠宮くん。
そのポジションは、ミッドフィルダー。
特に、ボランチと呼ばれる役割をになっている。
ボランチとはハンドルの意味をもつ。
その名のとおり、試合の状況にあわせて臨機応変に攻守を切り替える必要がある、まさに「舵とり」のポジション。ボールに触れる回数もおのずと増える役回り。
そんな篠宮くんがボールに触れるたび、私の心臓の音は一段とうるさくなる。
見ているとすぐに気づくけれど、篠宮くんの足さばきはすごく華麗だ。テクニシャン、といってもいいかもしれない。
捕らえたボールを離さないまま操って、相手の隙を縫うようにパスを送り出す。
足先の動きは、激しいスポーツをしているとは思えないほど、丁寧で、緻密で、繊細だ。
細かいトラップをいくつも組み込んだそれは、複雑なのに、軽やか。
自然に流れていくようで、まるでダンスのステップを踏んでいるようにもみえる。