スパークリング・ハニー

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忘れもしない、中学三年生の冬。
指先がかじかむほど気温が低くて、ちらちらと雪も淡く降っていて、そんな高校入試当日の朝のことだった。

まだ名前も知らない篠宮くんに、はじめて出逢ったのは。



「……はー……」



吐き出した息が白く染まる。

ふかふかに巻いたマフラーに口元をうずめて歩く、試験会場までの道。



緊張で昨夜はよく眠れなかった。
心臓がばっくんばくんうるさいんだもん。



度胸はある方だと思うけれど、強心臓なわけじゃない。
人生でそう何回も経験することもない入試当日ともなると、やっぱり緊張する。


手の震えはきっと、寒さのせいだけではないと思う。
心なしか、お腹もきゅうきゅうする……なんて思いながら歩いていると、突然。



「……っ」



くらりと視界が揺らいで、足に力が入らず、道端にしゃがみこんでしまう。

目眩。
なんで、どうして、このタイミングで。



「あの、大丈夫ですかっ?」



突如うずくまった私を心配そうにのぞきこむ、ひとりの女の子。見たことのない女の子、だけどその片手には単語帳。


この子も、私と同じ受験生だ。


雑踏、まわりを歩くのもみんな同じような受験生たち。
みんながみんな早足なのは、万が一にも遅刻しないため。



「大丈夫です!大丈夫なので、だから心配せずに先に行ってくださいっ」





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