スパークリング・ハニー
前に進めようとしたつま先が、思いきりつんのめる。
原因は、左腕をぐいと引き止められたから。後ろから。
倒れるかと思ったけれど、背中がとん、となにかに当たって。背中ごと地面に身体を打ちつける心配はなくなった、わけだけれど。
「えっ? えと……篠宮くん?」
戸惑いを隠せない。
今、すっごく挙動不審な自覚はあるの。
でも、でも。
訳わかんないんだもん。振り返って見えたのは、私の腕をつかまえている篠宮くんの、手。
背中にあたったのは、篠宮くんの胸板、だったらしい。
痛くも強くもない、けれど引き留めるにはじゅうぶんな力。
それが、私の左手首に絡みついている。
「どうしたのっ?」
何の用だろうか、と首を傾げる。
ついでに、篠宮くんの隣にいる山田くんも不思議そうに首を傾げている。
「……うん」
なぜか、頷く篠宮くん。
申しわけないけれど、その意図は全然伝わってこない。
余計に面食らってしまう。それでも手を離してくれなかった。
篠宮くんの表情と手を交互に見比べながら目を白黒させていると。