スパークリング・ハニー
見ているだけでじゅうぶん、憧れているだけでぜんぜん。
たまに話せるだけで贅沢だと思う。
うそじゃない、ほんとうにそう思っている。
『近づきたいって思う』
だけど、篠宮くんはそう言った。
他でもない、私をまっすぐに見つめて。
ひとつ、壁がこわれるような感覚。
奥の方にしまってあって、取り出すはずもなかった、私でさえ知らない感情が顔を出す。
「いいのかな」
「ん?」
「近づきたい、なんて、きっと私よくばりになっちゃう」
手の届かないひとに憧れる気持ちを、手を伸ばしたいと焦がれる気持ちに変えてしまうのは、すこし怖い。
求めないことが自然だったのに、きっと、もっともっとって与えられることを望んでしまうから。
「欲張ってよ、俺も同じくらい欲張ってるから」
「い、いいの?うざくなっちゃうかもしれないよ?」
「言ってるじゃん、もっと瑞沢に近づきたいって」
わかってないよ、きっと。
だって、篠宮くんは知らない。
私がどれだけ篠宮くんに憧れているか。