転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
こうして旅をすること一か月。ヴィオラは、帝国の都まであともう少しというところまで進んでいた。
馬車の周囲を囲む騎士達はおよそ十名と、一国の王女の護衛としては少ない数である。けれど、必要な品々はすべて先に先方に送ってあるし、財宝を運んでいるわけでもない。帝国内は治安がいいし、護衛の数をあまりにも多くして、必要以上に目立たない方がいいだろうとの判断だ。
このひと月の間に、『咲綾』の意識は『ヴィオラ』の記憶と身体にだいぶ馴染んできた。ニイファ以外、ヴィオラをよく知る人がそばにいないのもよかったかもしれない。
その日も、ニイファと向かい合って座っていたヴィオラは、窓の外を流れる景色が山に近づきつつあるのを見ながら問いかけた。
「この山を越えたところで一泊して、都には明日のお昼過ぎに到着するのだった?」
「そうですね。そのくらいだと思います。それより、ヴィオラ様は、少しお疲れでしょうか……おやつれになったような」
「私が痩せているのは前からでしょ。もうちょっと大きくなりたいわ」
ヴィオラの身体は細く、十二という実年齢よりも少し幼く見える。