転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「トロネディア王国は、父上の決断に不満があった。そして、その不満の矛先が向いたのがティアンネ妃です」
ティアンネ妃が嫁ぐ時、国元から望まれたのはオストヴァルト皇帝の後継者となる男児を産み、トロネディア王家の血を入れることであった。
けれど、現在五人いる皇帝の妃のうち、子供がいないのはティアンネ妃だけ。
長年連れ添った妃達の中で、今は皇帝の一番のお気に入りではあるけれど、それもいつまで続くことか。
「多かれ少なかれ、この国に嫁いでくる女性達は、そのような目的を持っているでしょう。母上だってそうだ――ウルミナ王国はなくなってしまいましたが」
リヒャルトの目が、アデリナ皇妃に向かう。アデリナ皇妃は、リヒャルトの視線をしっかりと受け止め、この場を支配しているのは自分自身だとでもいうように、優雅に微笑んだ。
そして、ヴィオラの目線はアデリナ皇妃から離れることはなかった。先日までの弱々しい姿はどこにも見えない。
後ろ盾がなくとも、自分ひとりで立っていられるという自信が溢れているみたいだ。
「そして、母上が私を身ごもったのと同じ頃、ティアンネ妃も身ごもったと聞いています」
だが、無事に出産を終えることができたのはアデリナ皇妃だけだった。そして、彼女は母国が滅亡した後も皇妃の座から下ろされることはなく、皇太子の母として、この世を謳歌しているようにティアンネ妃には映っていたのだろう。
いくらティアンネ妃の影響力が大きいとはいえ、公式に『皇妃』として後世に名が残るのはアデリナ皇妃の方だ。
ティアンネ妃が嫁ぐ時、国元から望まれたのはオストヴァルト皇帝の後継者となる男児を産み、トロネディア王家の血を入れることであった。
けれど、現在五人いる皇帝の妃のうち、子供がいないのはティアンネ妃だけ。
長年連れ添った妃達の中で、今は皇帝の一番のお気に入りではあるけれど、それもいつまで続くことか。
「多かれ少なかれ、この国に嫁いでくる女性達は、そのような目的を持っているでしょう。母上だってそうだ――ウルミナ王国はなくなってしまいましたが」
リヒャルトの目が、アデリナ皇妃に向かう。アデリナ皇妃は、リヒャルトの視線をしっかりと受け止め、この場を支配しているのは自分自身だとでもいうように、優雅に微笑んだ。
そして、ヴィオラの目線はアデリナ皇妃から離れることはなかった。先日までの弱々しい姿はどこにも見えない。
後ろ盾がなくとも、自分ひとりで立っていられるという自信が溢れているみたいだ。
「そして、母上が私を身ごもったのと同じ頃、ティアンネ妃も身ごもったと聞いています」
だが、無事に出産を終えることができたのはアデリナ皇妃だけだった。そして、彼女は母国が滅亡した後も皇妃の座から下ろされることはなく、皇太子の母として、この世を謳歌しているようにティアンネ妃には映っていたのだろう。
いくらティアンネ妃の影響力が大きいとはいえ、公式に『皇妃』として後世に名が残るのはアデリナ皇妃の方だ。