転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
 そこで、ヴィオラの排除を測ったのだが、それにもまた失敗してしまう。

 イローウェン王国の者の衣服を着せたのは、ヴィオラが消えた落ち度をイローウェン王国にかぶせるため。

 けれど、すぐにリヒャルトに助け出されてしまったヴィオラは、自分をさらった者達はイローウェン王国の者達ではなかったと証言した。

 だから、ティアンネ妃の計画はずっと崩れっぱなしだったのだ。イローウェン王国との戦のせいでこの国に来るよう求めたヴィオラの存在のせいで。

「……だから、今度はもっと直接的な手段を取ることにしたのだろう。母上を暗殺するのは、さすがに気が咎めていたようだが」

 皇妃を暗殺したとなれば、追及は病気よりも何倍も厳しくなる。だが、国元から、ティアンネ妃をせっつく声は、ますます大きくなっていて、なりふりかまわずにはいられなくなっていた。

 何より――ティアンネ妃が皇妃の座に固執していた。彼女が、この国の頂点に立ったという、明確な証拠だったから。

「……だから、今日まで母上には毒物の作用で床に伏せてもらうことにした。おかげで、いろいろと探ることができた」

「……ティアンネ、申し開きは?」

「そんなの、ただの偶然でしょう? 私が毒を盛ったという証拠がどこにあるの」

 かっとなった様子で、ティアンネ妃が叫ぶ。

 その剣幕は、ヴィオラが思わず一歩後退してしまうほどだった。踵がリヒャルトのつま先にぶつかり、肩にかけられた手に力がこもる。

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