転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「大丈夫。安心していていい」
リヒャルトがそう言ってくれたから、なにも怖くない。大きく息をついて、落ち着きを取り戻そうとする。
(……そうよ、リヒャルト様がついていてくれるんだから)
この世界にひとり放り出され、前世との記憶の乖離に悩んだこともあった。
前世の家族を懐かしく思うこともあった。そんな中、命がけでヴィオラを救ってくれたこの人とならば、なにも怖くないと素直に思う。
「……証人なら、この場にすぐに連れてくることができる」
「証人? そんな者、どこにいるというの?」
「ここに、連れてきてある。入ってきてくれ」
リヒャルトが隣室に声をかける。隣室に続く扉が開かれ、そこから入ってきた者にヴィオラは見覚えがあった。男がひとり、女がひとり。
男は、市場で見かけた元宮廷料理人だ。女は、侍女としてこの皇宮で働いていたものかもしれない。なんとなく、見おぼえがある。
「こちらの男は、元、厨房の料理人です。彼は、ソメカイタケを使って料理をしたと解雇されてしました。本来なら処刑されるところを、首で堪忍してやるだけありがたいと思えと言われたうえで」
処刑されなかったとはいえ、ソメカイタケとマッシュルームを間違えるような料理人など、どこも雇いたがらない。彼は、市場で力仕事に従事するようになった。
だが、彼は覚えていた。その日に限り、ティアンネ妃の侍女が厨房にやってきていたことを。
リヒャルトがそう言ってくれたから、なにも怖くない。大きく息をついて、落ち着きを取り戻そうとする。
(……そうよ、リヒャルト様がついていてくれるんだから)
この世界にひとり放り出され、前世との記憶の乖離に悩んだこともあった。
前世の家族を懐かしく思うこともあった。そんな中、命がけでヴィオラを救ってくれたこの人とならば、なにも怖くないと素直に思う。
「……証人なら、この場にすぐに連れてくることができる」
「証人? そんな者、どこにいるというの?」
「ここに、連れてきてある。入ってきてくれ」
リヒャルトが隣室に声をかける。隣室に続く扉が開かれ、そこから入ってきた者にヴィオラは見覚えがあった。男がひとり、女がひとり。
男は、市場で見かけた元宮廷料理人だ。女は、侍女としてこの皇宮で働いていたものかもしれない。なんとなく、見おぼえがある。
「こちらの男は、元、厨房の料理人です。彼は、ソメカイタケを使って料理をしたと解雇されてしました。本来なら処刑されるところを、首で堪忍してやるだけありがたいと思えと言われたうえで」
処刑されなかったとはいえ、ソメカイタケとマッシュルームを間違えるような料理人など、どこも雇いたがらない。彼は、市場で力仕事に従事するようになった。
だが、彼は覚えていた。その日に限り、ティアンネ妃の侍女が厨房にやってきていたことを。