転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「ソメカイタケそのものを持ち込まなくとも、ソメカイタケの煮汁を鍋に放り込むことならできるだろう」
最終的に料理人が味見をするにしても、ひと口程度であれば気づかない可能性が高い。調理場では、百人近くの料理を一度に作っていてざわついていたから、隙をうかがって瓶の中身を鍋にあけることも難しくはなかったはずだ。
中毒症状が出るまでには、時間がかかるから、厨房に人気がなくなるのを見計らってキノコを入れ替えることもできる。
「その役を負ったのが、隣の女。父上も見覚えはありませんか?」
そう言われ、皇帝は女の方に目をやった。じっと目をこらし、目の前にいる相手をどこで見かけたのか、思い出そうとしているようだ。
「――ティアンネの宮で見たことがあったような気がする」
「その通りです。彼女は、ティアンネ妃の侍女でした。彼女が戻らなくて、心配したのでは?」
後半はティアンネ妃に問いかけたものだったけれど、ティアンネ妃は唇を引き結んだまま答えようとはしなかった。
侍女は、数日前に捕らえたのだという。彼女の身元についても、今日までの間にしっかりと確認したのだとリヒャルトは続けた。
「そんなの、その女が勝手にしただけではないの。私が命じたという証拠はどこにもないわ」
「そ、そんな……ひどい! 私にソメカイタケの毒物を抽出するよう命じたのは、ティアンネ様ではありませんか!」
侍女が声を上げた。
最終的に料理人が味見をするにしても、ひと口程度であれば気づかない可能性が高い。調理場では、百人近くの料理を一度に作っていてざわついていたから、隙をうかがって瓶の中身を鍋にあけることも難しくはなかったはずだ。
中毒症状が出るまでには、時間がかかるから、厨房に人気がなくなるのを見計らってキノコを入れ替えることもできる。
「その役を負ったのが、隣の女。父上も見覚えはありませんか?」
そう言われ、皇帝は女の方に目をやった。じっと目をこらし、目の前にいる相手をどこで見かけたのか、思い出そうとしているようだ。
「――ティアンネの宮で見たことがあったような気がする」
「その通りです。彼女は、ティアンネ妃の侍女でした。彼女が戻らなくて、心配したのでは?」
後半はティアンネ妃に問いかけたものだったけれど、ティアンネ妃は唇を引き結んだまま答えようとはしなかった。
侍女は、数日前に捕らえたのだという。彼女の身元についても、今日までの間にしっかりと確認したのだとリヒャルトは続けた。
「そんなの、その女が勝手にしただけではないの。私が命じたという証拠はどこにもないわ」
「そ、そんな……ひどい! 私にソメカイタケの毒物を抽出するよう命じたのは、ティアンネ様ではありませんか!」
侍女が声を上げた。