転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「俺もポタージュを飲んだが、なんともないぞ。それに味がおかしいとも思わなかった」

「全部飲んだんですか? 残したのなら、体内に入った量が少なくて影響が出てないのかも。私も二口飲んだけど、なんともないです。あとは、殿下は身体が丈夫だから影響が出なかったのかも。味については、たぶん、普通の人は気がつかないと思います」

 ここまで口にして、考え込んでしまった。ソメカイタケの毒性が強くないとはいえ、身体が弱い人には注意してあげた方がいい。死亡例が皆無と言うわけではないのだ。

「お年を召した方とか、病気から快復したばかりの方は気を付けてあげたほうがいいと思います。ソメカイタケの毒性に対抗するだけの体力がないかもしれないから。たぶん、治療方法はお医者様の方がよく知ってると思うんですけど」

 そう付け加えたけれど、リヒャルトはやっぱりヴィオラの言葉を信じていないみたいだ。眉間に皺を寄せたままのむっとした表情で、ヴィオラのことを見ている。

(信じないだろうとは思っていたけど、ちょっと態度がよくないと思う!)

 二人の立場を考えたら、ヴィオラの方から文句なんて言えるはずもない。

「わかった。ソメカイタケだな――侍医に治療の際は、ソメカイタケの中毒症状を考慮するよう伝えてくれ」

「かしこまりました」

 この青年は、リヒャルトの護衛とか侍従とか、そういう役割の人なんだろう。リヒャルトの命令を聞くなり、一礼して出て行ってしまう。

「――それで、だ。ヴィオラ姫。君の言うことは信じがたい一面もある。君の味覚を確認させてもらえないか」

「それは、かまいませんけど……」

 背後にいるニイファがなんとなくムッとしたような気配は察知したけれど、普通なら信じられないような話なのでしかたない。

 リヒャルトに連れられ、クィアトール宮の外に出ると、そこには馬車が待っていた。

 先にリヒャルトが馬車の側に立ち、ヴィオラが乗るのに手を貸してくれようとする――そこで彼は差し出しかけた手を引っ込めた。

< 47 / 225 >

この作品をシェア

pagetop