氷雨逆巻く天つ風の夜に【完】
百鬼が集合すると、迫力満点になる。

各々が一騎当千に値する中、銀や焔、そして氷雨は一騎当千どころではない実力を備えているため、百鬼たちはざわついていた。

氷雨が屋敷の留守番ではなくここに居るということは――


「皆も察しているようだが、今夜は雪男も参加する」


「おおっ、それは頼もしい!それでその…お嬢が何故?」


朔の隣で腕を組んで立っている氷雨の袖を握ってにこにこしている朧に皆の視線が集中すると、朔は縁側に座っていた天満を立たせると共に朧の頭を撫でてにっこり。


「そして今夜は朧の初陣であり、天満も参加する。朧に目をかけつつ、向かって来る連中は狩り尽くせ」


どっと怒声のような歓声が沸くと、氷雨は嬉しそうに見上げてきた朧の頬をむにっとつまんだ。


「おいこら、お前は前線には出さないからな。絶対俺か天満の傍に居ろ」


「私だってちゃんと戦えますっ」


「んなことは分かってんだよ。だけど万が一お前に何かあったら俺は…」


心配してくれる氷雨の真っ青な目の中に光が揺れていてそれがとても美しくて見惚れていると、氷雨はぽかりと朧の頭を軽く小突いて百鬼たちに笑いかけた。


「てなわけで、朧に何かあったら主さまとか天満が黙っちゃいない。気を引き締めていこうぜ!」


「応っ!」


珍しく発破をかけた氷雨に続いて皆が声を上げると、朔が号令をかけた。


「お前たち!行くぞ!」


暮れた夜空を百鬼夜行が行く。

大討伐の夜が始まった。
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