氷雨逆巻く天つ風の夜に【完】
晴明が診療してくれると知った朧と如月は、ふたり一緒に診てもらえるようお願いしてくまなく調べてもらった。
その結果分かったのは――
「ふたりとも健康体だし、いつでも子を産める状態だよ。ただし朧は月のものの痛みが響く身体つき故、私の薬を欠かさぬように」
「はい。あの、氷雨さんたちは…」
「彼らも問題ない。だが泉に関しては私が責任を持って快方に向かうよう努めよう。如月、安心しなさい」
――泉の体調が悪いのはいつものことだし、それより晴明がこうして懇切丁寧に説明してくれて傍に居てくれることがとても嬉しい如月は、着物を着て畏まって正座した。
「お祖父様、今まで長い間不義理をして申し訳ありません。私は勘当されていたので…」
「親子間はそうであっても私と如月は孫と祖父の間柄。分けて考えてほしかったのだが、幼かったそなたには無理な話であったね」
また頭を撫でられて嬉しそうに笑った如月を見た朧もまた嬉しくなって、晴明にもそっと近づいて膝に手を置いた。
「しらばらく滞在してもらえるんですよね?」
「うむ、そのつもりだよ。そなたたちは新婚旅行中だったねえ、邪魔したかな?」
「いいえっ、私、如月姉様とお話することがまだまだ沢山あるんです。だからまだまだ居ますっ」
「愛いことを言ってくれる。どうだ朧、ひと月ほど滞在しないか?」
晴明と如月に代わる代わる頭を撫でられた朧は、それもいいなと思いつつ晴明をじっと見つめた。
「朔お兄様の様子はどうでした?」
「一緒に行かないかと誘ってはみたのだよ。ついて来たそうにしていたが、‟新婚旅行の邪魔をしたくない”と言って留まったよ。だがどうだろう…寂しさ余って来てしまうかもねえ」
「私!朔兄様に文を書いてみます!」
発奮した朧が握り拳を作ると、朧と同様朔が大好きな如月もまたはにかんだ。
はにかんで、幼い頃とても可愛がってくれた長兄との再会を願って朧の肩を抱いた。
その結果分かったのは――
「ふたりとも健康体だし、いつでも子を産める状態だよ。ただし朧は月のものの痛みが響く身体つき故、私の薬を欠かさぬように」
「はい。あの、氷雨さんたちは…」
「彼らも問題ない。だが泉に関しては私が責任を持って快方に向かうよう努めよう。如月、安心しなさい」
――泉の体調が悪いのはいつものことだし、それより晴明がこうして懇切丁寧に説明してくれて傍に居てくれることがとても嬉しい如月は、着物を着て畏まって正座した。
「お祖父様、今まで長い間不義理をして申し訳ありません。私は勘当されていたので…」
「親子間はそうであっても私と如月は孫と祖父の間柄。分けて考えてほしかったのだが、幼かったそなたには無理な話であったね」
また頭を撫でられて嬉しそうに笑った如月を見た朧もまた嬉しくなって、晴明にもそっと近づいて膝に手を置いた。
「しらばらく滞在してもらえるんですよね?」
「うむ、そのつもりだよ。そなたたちは新婚旅行中だったねえ、邪魔したかな?」
「いいえっ、私、如月姉様とお話することがまだまだ沢山あるんです。だからまだまだ居ますっ」
「愛いことを言ってくれる。どうだ朧、ひと月ほど滞在しないか?」
晴明と如月に代わる代わる頭を撫でられた朧は、それもいいなと思いつつ晴明をじっと見つめた。
「朔お兄様の様子はどうでした?」
「一緒に行かないかと誘ってはみたのだよ。ついて来たそうにしていたが、‟新婚旅行の邪魔をしたくない”と言って留まったよ。だがどうだろう…寂しさ余って来てしまうかもねえ」
「私!朔兄様に文を書いてみます!」
発奮した朧が握り拳を作ると、朧と同様朔が大好きな如月もまたはにかんだ。
はにかんで、幼い頃とても可愛がってくれた長兄との再会を願って朧の肩を抱いた。