氷雨逆巻く天つ風の夜に【完】
朧が物干しざおに布団を干そうと背伸びしていると、後ろから白い手がにゅっと出てきて布団をかけてくれた。
その有り得ないほど白い腕の主を知っている朧は、振り返らずにぱんぱんと布団を叩いた。
「さっきから朔兄様とこそこそ何を話してたんですか?」
「んー、まあちょっとな。お前さ、ここにずっと居ると息が詰まったりしないか?」
「え?しませんよ?私このお家大好きだから」
「あっれえ?話と違うぞおい…」
今度は包布を手に朧がじっと氷雨を見上げていると、氷雨はきょろりと辺りを見回してから干した布団の陰に隠れて縁側から死角に入った。
「新婚旅行…行くか?」
「…えっ!?」
その嬉しそうな声に、少なからず期待していたのを知った氷雨は、頬をかいて朧を抱き寄せた。
「ごめん、俺ここの留守役だからそういうの考えてもなかった。だけど主さまが行って来いって言うから、大討伐が終わったらどこかに行こう」
「お師匠様!嬉しい!」
抱き着きながらぴょんぴょん飛び跳ねる朧の脇を抱えてひょいと頭上に持ち上げた氷雨は、太陽のように輝く笑顔に癒されて頬を緩めた。
「主さまに感謝しないとな。…いや待て、まさかあの小舅ついて来るとか言うんじゃ…」
「ふたりだけですよっ、だって新婚旅行だもん!」
下ろしてもらった朧は手にしていた真っ白な抱負を氷雨の頭から被せた。
元々真っ白な男なのにそうすると本当に雪の化身のようで、背伸びをして目を閉じると、ふっと苦笑しているのが分かった。
「はいはい、お嬢様」
重なった唇はとても優しくて温かくて、人目を忍んで何度も唇を重ね合って幸せに浸った。
その有り得ないほど白い腕の主を知っている朧は、振り返らずにぱんぱんと布団を叩いた。
「さっきから朔兄様とこそこそ何を話してたんですか?」
「んー、まあちょっとな。お前さ、ここにずっと居ると息が詰まったりしないか?」
「え?しませんよ?私このお家大好きだから」
「あっれえ?話と違うぞおい…」
今度は包布を手に朧がじっと氷雨を見上げていると、氷雨はきょろりと辺りを見回してから干した布団の陰に隠れて縁側から死角に入った。
「新婚旅行…行くか?」
「…えっ!?」
その嬉しそうな声に、少なからず期待していたのを知った氷雨は、頬をかいて朧を抱き寄せた。
「ごめん、俺ここの留守役だからそういうの考えてもなかった。だけど主さまが行って来いって言うから、大討伐が終わったらどこかに行こう」
「お師匠様!嬉しい!」
抱き着きながらぴょんぴょん飛び跳ねる朧の脇を抱えてひょいと頭上に持ち上げた氷雨は、太陽のように輝く笑顔に癒されて頬を緩めた。
「主さまに感謝しないとな。…いや待て、まさかあの小舅ついて来るとか言うんじゃ…」
「ふたりだけですよっ、だって新婚旅行だもん!」
下ろしてもらった朧は手にしていた真っ白な抱負を氷雨の頭から被せた。
元々真っ白な男なのにそうすると本当に雪の化身のようで、背伸びをして目を閉じると、ふっと苦笑しているのが分かった。
「はいはい、お嬢様」
重なった唇はとても優しくて温かくて、人目を忍んで何度も唇を重ね合って幸せに浸った。