秀才男子は恋が苦手。



「そりゃまぁ…不安になったことなんて何百回も何千回もあるけど」


ボリボリと頭の後ろを掻く千葉。


「でも好きなもんは仕方ねーじゃん?
頭でどうこう考えて、理屈で嫌いになれるんじゃ苦労しねーよ」


…理屈で嫌いになれるんじゃ苦労しない、か…。


「ま、その分両想いになったときの幸せは半端じゃねー…って、どうした筒井」


「…別に、トイレ」


急に立ち上がった俺に合わせて、なぜか一緒に立ち上がる千葉。


「お前どうした?今日なんかおかしいけど…も、もしや…昨日やっぱり亜衣ちゃんと何かあったのか!?」

「…だから何もないって」

「本当に!?
お母さんに全部言ってみなさい!ん!?」


…いつお前が俺のお母さんになった。


勝手に肩にまわされた千葉の腕を振り払った。



「だから何もない。あるわけないだろ」



俺は千葉とは違う。


理性でちゃんとストップがかかる。


他に好きな奴がいる女に。



…手、出すほどバカじゃない。





< 67 / 107 >

この作品をシェア

pagetop