秀才男子は恋が苦手。
“平常心”
“早まるな 落ち着いてまず 深呼吸”
「…これ何?」
衛藤が、壁に貼られたその紙を見て首を捻った。
「昨日来たときはなかったよね?」
「あー、まぁ…気にするな。座って」
「あ、うん」
衛藤が昨日と同じ位置にチョコン、と腰をおろす。
それを確認して俺も衛藤のテーブルを挟んで向かい側に腰をおろした。
よし!まずは適度な距離の確保に成功。
「昨日は数学の課題だいぶ進んだから、今日は日本史の課題持ってきた!」
ジャジャーン、となぜか得意気に日本史の課題を取り出す衛藤。
「…衛藤、歴史好きなの?」
心なしか楽しそうだ。
「うん、けっこう好きだよ!特に戦国時代が!戦国武将って、なんか漢!!って感じでかっこいいじゃん?」
「…ふーん」
衛藤って、男らしい男が好きなのか…
って、何勉強とは全く違う知識頭に刻み込んでんだ、俺。
「…俺も、今日は日本史やる」
「あっ、つつるんもまだ日本史の課題は終わってなかったんだ?」
「…まぁな」
正直、理数科目よりも文系科目…というか暗記科目はあまり得意ではない。