秀才男子は恋が苦手。
「はぁ!?何だテメェ」
男の一人が俺にガンを飛ばしてくる。
そんな男に俺は110と表示されたスマホの画面を見せた。
あとはボタンを一つ押すだけだ。
「俺は彼女とはただのクラスメイトですが」
「ナメてんのかっ!!」
そっちがテメェは何だと聞いてきたから答えただけなのに乱暴に胸倉をつかまれる俺。
すぐに暴力に訴えるのはやめてほしい。
「傷害罪も追加しますか?」
「テメッ…」
睨みつけてくる瞳を昂然と見つめ返していると、チッ、と男は舌打ちをして俺の胸倉を突き飛ばすようにして手を離した。
「覚えてろよこのクソ眼鏡が!!」
そして男達はそんな悪態を残して店を出ていった。
クソ眼鏡か。うーむ。つつるんよりはマシかもな。
「つつるん…かっこいい…」
男たちの背中を見送りながらそんなことを考えていたら、うっとりとしたそんな声が聞こえてきた。
視線をやると、ハッ!として慌てて顔を逸らす衛藤亜衣。
「あ…あの…ありがとう!助けてくれて!つつるん!」
「だからつつるんではなく筒井だ」
あぁ。慣れない不良と対峙なんてしたものだからなんだかまた頭が痛い。