悲しみの理由を忘れた少女
〜チョコレート〜

「西条くんがそんなに笑うの初めて見たよ。」

「本当?俺、けっこう笑うよ。」

嘘だ。

私は、その時全くそれを信じなかった。

「でさ、さっき言おうとした事なんだけど、

城咲ってチョコ好きなの?」

「え?」

予想外の質問に私は思わずそう口にした。

「チョコレート、いつも休み時間とか食べてるなぁと思って。」

「なるほど、好きだよ。」

私がそう言ってにこっと笑うと、西条くんは
「そっか。」
と割と素っ気なく返してきた。

「西条くんは甘いものとか好き?」

「好きだよ。でも辛いのも結構好きかな。」

ああ、よかった。
全然私、西条くんと話せてる。

結局、重たい沈黙が流れたのは始めの1分か2分だけだった。

私たちは無事に体育館に荷物を運んで教室に向かった。
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