私だけの場所。




何故か私は双子ちゃんに囲まれてワゴン車の一番後ろに座っている。先生は運転席で助手席に楓さん、私の前に立花くんと千夏で私達である。




「お姉ちゃんは大ちゃんのかのじょ?」


「え、隼人兄ちゃんの彼女でしょ?」


「え?えぇ!?え?」



えっと、双子ちゃんて確か5歳だよね?え、5歳ってこんな話に興味をお持ちになる年頃なんですの?テンパる私に言い合う双子ちゃん。それに、助け舟を出したのが立花くんで……



「ちがうぞ、神崎は他の人が好きなんだ。」



「えー。大ちゃんでも隼人兄ちゃんでもないの?」



「隼人兄ちゃん、なんで由美お姉ちゃんのこと神崎って呼ぶの?」



「え?」


「お友達なんでしょ?僕はなつきちゃんのことなつきちゃんって呼ぶよ?」



「…………」




お互い無言になる私達に楓さんが面白そうに名前で呼んでみたら?と言う。それに、おどろきながらも私をちらっと見て由美と呼ぶ立花くんに私も名前で呼んでみれば何故か微笑まれ……今度は千夏をみる大輝くんに千夏は意地悪そうに笑ってる……が、それを見た大輝くんは




「バカ夏。」


「は?」



「バカ夏でいいだろ?」



なんて、笑っているが……何故かそれを微笑ましそうに見守る先生と楓さん。それに首をかしげながらも……双子ちゃんと知り取りしてれば、楓さんが意地悪そうな笑みを浮かべ、先生に外で先生って呼ばれるつもり?なんて言う。



「確かにな……んじゃ、渡辺ってよべよ?」


「やだ、なんか他人みたいじゃん。ここはやっぱり、隼ちゃんか隼人でしょ?ね?由美ちゃん?」



「え、私ですか!?」




突然話を振られててんぱる私に両側の双子ちゃんが笑う。




「隼人兄ちゃんだよね?」



「何言ってるの?隼ちゃんだよ!」




なんて、ここで小さな争いが始まる双子ちゃんに困ってればあることを思いつき……




「じゃ、隼人ちゃん?」


「「え?」」



先生は固まり大輝くんは爆笑し、楓さんと千夏は聞き直す。双子ちゃんは不思議そうに首を傾げる。




「優希くんは隼人お兄ちゃんで紅亜ちゃんは隼ちゃん。なら、二人の言葉を取って隼人ちゃんでいいかなーって?」




「「いいね!それいいよ、由美お姉ちゃん!!」」



なんて、喜ぶ双子ちゃんに先生の顔は引きつっていた。




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