隠れ蓑〜Another story〜
山下先輩は驚いたように唖然とこちらを見ていて、目が合い慌てて我に返った。
「す、、すみません、、、。」
「いや、全然いいよ。それだけ晶帆の事、憧れてるんだよね。あの子は本当にいい子だから山口さんが強く惹かれるの分かる。、、私もそうだしね。でもほら、タイプが全然違うから晶帆のようにはなれないから。」
「山下先輩もそんな風に思ったりするんですね。なんか私も山下先輩のイメージ変わりました。」
「イメージってどんな?」
「美人で、他人に興味なくて、少し冷たい印象でした。なんか独りでも生きていけるような感じ。でも、、、全然違う。」
俯きながら呟いた。
先輩相手に正直に言いすぎたと慌てて顔を上げると、山下先輩は柔らかい表情をしていた。
「あぁ、それ正解ね。だって他人に興味なんてなかったから。あの子と出会うまで独りで生きていくことに何の怖さも無かった。でも、、もう無理かもね。独りで生きていく感覚も分からなくなった。あの子という親友が出来たお陰でねっ!!」
そう言った山下先輩は、会社では見たことのない屈託の無いはにかんだ笑顔を見せた。