隠れ蓑〜Another story〜
そう声を上げると山下先輩は真剣な表情で言葉を発した。
「、、そこまでする理由は?きっとこれが目標に達する前に津川さんにバレれば、、きっと、、、貴方、飛ばされるわよ?最悪の場合、会社を辞めることになるかもしれない。それは貴方も分かってる筈。それなのに、ここまでする理由は何?」
そう問われ、一度目を伏せて深呼吸をした。
そして覚悟を決め、今まで誰にも話したことの無い心の内を話し始めた。
「私、、正直舐めてたんです。山下先輩も経験あると思いますけど、この見た目だったので小さい頃から周囲からチヤホヤして育てられたんです。だからここの受付に配属されたのも当然だって思ってました。誰かに叱られた事なんてありませんでした。、、先輩に出会うまでは。」
その当時の事を思い出して、つい苦笑いをしてしまう。
「先輩と2人で受付に立ってるのに、何故かチヤホヤされるのは先輩ばっかりで、、私には変な奴しか寄ってこなくて、それがプライドを傷つけられたみたいで、、私自身を否定されたみたいに感じて腐ってたんです。配属された当初は。仕事も舐めてました。勿論、先輩の事も。」
「でもいつも穏やかで温厚な先輩が物凄く怒った事が一度だけあって、、。それは仕事の事じゃなくて、、私のプライベートな事だったんです。」