隠れ蓑〜Another story〜
静かに耳を傾けてくていた山下先輩が優しく問いかけてくれた。
「ヘぇ、、それは珍しいね。プライベートってどんな?」
「、、不倫、、してたんです。取り引き先のお客様と。勿論、相手に奥さんも子供もいる事も知った上で付き合ってました。結構上手くやってたと思うんですけど、どうしてか先輩にバレちゃって、、その時、見た事もない形相で怒られたんです。その時は、先輩の余りの怖さに泣きました。」
「確かに普段穏やかな人ほど、怒ったら怖いわよね。私はちょっと晶帆が怒ってる姿なんて想像出来ないけどね。」
「しかも怒った理由も不倫どうこうじゃなくて、私の幸せを願って怒ってくれたんです。」
〝このまま関係を続けても、絶対に真美ちゃんは幸せになんてなれないんだよっ、、!それに本当に真美ちゃんの事を大事に思ってくれているなら真美ちゃんを日陰の存在なんかしないっ!!!私は真美ちゃんの幸せの為ならなんだってするから。〟
先輩が言ってくれた言葉を思い出して、あの頃を思い出して涙が出そうになった。
「〝真美ちゃんの幸せの為ならなんだってするから〟ってそんな、、親にも兄弟にも友達にも、、愛する彼にも言われた事なかった言葉を先輩は私にくれたんです。」