隠れ蓑〜Another story〜


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それから署名活動に奮闘し、集めた書面を提出する日がやって来た。



朝から早起きをして、いつも以上に念入りに化粧を施した。

集めた分厚い書面を茶封筒に入れて、勇み足で会社に向かった。






素早く受付の制服に着替え、一階の受付ではなく最上階にある社長室へと向かった。

社長室の前で大きく深呼吸をする。



そして頬を強めに叩いて、覚悟を決めてドアにノックをした。













「、、はい、どうぞ?」


中から社長の声がして、中へと足を進める。

そして深々と頭を上げて声を掛けた。






「、、朝早くから失礼致します。受付の山口です。本日は受け取って頂きたいものがあってこちらへお伺い致しました。」


視線を足元から社長へと向けて、真っ直ぐに社長を見つめた。






「、、大事に握りしめているその分厚い茶封筒の事かな?勿論、受け取るよ。中身は一体何かな?」

「受付勤務、西村 晶帆の異動取り下げを望む嘆願書です。それと、、私の覚悟をお持ちしました。」





社長の机の上に、嘆願書と一緒に私の退職願いも並べて置いた。



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