隠れ蓑〜Another story〜
社長はそれらを無言でジッと見つめて、書面に手を掛けた。
「、、中身を拝見しても?」
「っはいっ、、!お願いしますっ!!!」
パラパラと集めた署名を眺めながら、小さく呟いた。
「、、ここまで集めるのには、かなりの時間と労力を使ったんだろうね。しかし私の一存では決められないな。」
全て見終わると、机に備えてつけてある電話を手に取り内線をかけ始めた。
「私だ。忙しい所悪いが、今すぐ社長室まで来てくれ。西村さんに関する重要な話なんだ。」
そう一言いうと、受話器を置いた。
「社長、、?一体どちらに?」
「あぁ、直ぐに分かるよ。ほら、来た。」
入り口からノック無しでうっすら息を切らしながら入ってきた人物を見て、顔が強張る。
「、、お呼びですか?晶帆に関する重要な話、、というのはそこにいる山口さんも関係するお話ですか?」
「勿論そうだ。人事部長であるお前の意見も聞かせて貰わなければと思ってな?」
そういって嘆願書を津川さんに手渡した。
それを目にした途端、ドス黒いオーラがビリビリ部屋中に広がって呼吸するのもやっとなくらいの緊張感に包まれる。