隠れ蓑〜Another story〜
「すみませんっ、、!お怪我はありませんか?」
慌てて謝罪を口にすると、楽しそうに笑う声がした。
「、、捻挫しちゃったかも。治療費としてその楽しそうな飲み会、私も参加しちゃおうかしら?だって私も女子だし?なんならご馳走してあげるわよ。どう?」
ニッコリ笑いかけてくるその人物は、本当に綺麗で女の自分も見惚れてしまうほどの色気を漂わせている。
長かった綺麗な明るい髪を一度バッサリ切った事もあって、今はセミロングくらいの長さだ。
ロビーにいた男性陣の視線は一気にその人物に集まって、それに気づいた本人も満更じゃない表情で口角を上げた。
あの騒動があった後でも、やっぱりレディースファッションを見事に着こなす姿を見るとやはりどちらが本当の姿なのか分からなくなる。
「柿本さん、、相変わらずですね。お元気そうで何よりです。それに見ない間に髪も伸びられましたね。そうしてると本当に美女ですね。でも本来の姿を知ってる私としては気持ち悪いです。普通に話してください。」
「なになに〜?私が落ち込んでるとでも思ってたの〜〜?莉子ちゃんってば意外と優しいのね〜〜?この格好の時は、この話し方の方が自然でしょ?普段の口調にしたらかえって気持ち悪いじゃない。」
頬を膨らませ、可愛い顔をしてくる柿本さんに冷ややかな視線を無言で送る。